星野眞吾賞受賞作品 東京展 細田学芸員インタビュー
いよいよ新年1月9日から星野眞吾賞受賞作品 東京展がスタートします。
2024年10月26日から11月24日に愛知県豊橋市で開催された星野眞吾賞展の中から、大賞、準大賞、優秀賞に加え
審査員の方々推奨の計8点をUNPEL GALLERYで展示をします。これに先立ち豊橋市美術博物館の細田学芸員にお話を伺ってきました。
-この公募展は星野眞吾先生が後進の支援育成のために私財を寄贈され、その遺志を継ぐ形で1999年に第1回、以降3年毎に開催され今回で9回目を迎えました。
全国からの既成概念にとらわれない新しい日本画を公募されるということですが今回は何名の方が公募で応募されましたか。
北海道から沖縄まで144点の作品が応募されました。
-今回応募された作品をご覧になってどんな印象を持たれましたか。
やはり私達と同じ時代を生きている作家が今まさに創った作品というのが第一印象です。2024年に制作された作品がほとんどで、昨今の不安定な状況、例えば戦争や異常気象、そういったものを反映した作品や、ご自身の家族に思いをはせた作品もあり、観ている私も共感できる作品ばかりでした。
-審査のことについて少しお伺いします。審査員の先生方は5名ですね。審査の様子はどうでしたか。
すごく悩まれて真摯に向き合ってくださって、遠くからそして近くからと、もうじっくり視て協議をしながら真剣に選んでいくプロセスを横で見ておりました。審査員もこのメンバーになって結構長く、お互いのことを良くご存じなので、忌憚のない意見を自由に交わしておられ、自分はこの作品をこういう点で押しますとか、皆さんははっきりおっしゃっておられました。そばで聞いていて、なかなか緊張感がありました。
自分がどういうタイミングでお声を掛けたら良いか、ちょっと悩みながら事務局をやっていました。
-この審査を経て最終的に60点が入選。今の世相を映す作品が多かったとのことですが、特に気づかれたこととかありますか。
過去何回も応募していただいている作家も多くいらっしゃいますが、毎回違うアプローチで制作してこられています。特に大賞受賞の八木祐介さんは今回大変見応えがある作品を寄せられたので印象に残っています。
八木さんは現在33歳、初めて出展されたのは19歳です。その時に審査員賞(野地耕一郎)を受賞されています。
当時瞠目の新人と言われていましたが、その後色々苦労されながら今回の作品に到達、大賞を受賞されて、私もずっと見てきたので本当に嬉しく思っています。
展覧会の歴史が作家自身の歴史でもあり、この展覧会を通じ作家が育っていく。どんどん良くなっていくというか。
そういう過程を見るのも楽しみの一つです。
-継続してチャレンジされている一方、今回初めてという方はどのくらいいらっしゃいましたか
初入選は全体の半分です。2000年代以降生まれの若い作家方もいらっしゃいます
-この展覧会の一番の眼目は展覧会タイトルの中にもあるように「明日の日本画を求めて」ということを謳われています。これは元々この展覧会を始めるきっかけとなった星野眞吾先生、高畑郁子先生の遺志を継いでいると伺っています。
星野眞吾は、自身が日本画家として常に新しい表現を追求していたということ、加えて人の育成にとても力を注いでおられ、小さい子向けの画塾、大人向けの塾をやっていた、そういう2つの柱がこの展覧会で果たせているのではないかと思っています。
-星野先生亡き後高畑先生がこの展覧会に関わってこられた、そういう意味では高畑先生の功績も大きかったと。
毎回展覧会の会場に姿を見せていただいておりまして、前回第8回展でも表彰式でテープカットもしていただきました。もうこれから高畑先生にご覧いただけないと思うとすごく寂しく感じます。
-開会式では作家の方もいろいろなコメントをされたと伺っています。
今回入賞60名の方うち32名の方が出席され、皆さんからご自分の作品について教えていただき興味深かったです。やはり、私が見ていたものと作家から語られる視点は違うのです。例えば今回審査員菊屋先生の推奨賞を受賞された徐浩然さん、その方の作品見た時はてっきりご自身の故郷の中国の風景なのかなとか思っていたら、実は日本で取材した様子を捉えましたと伺いびっくりしました。
また、アーティストトークの時に木村真光さんから伺ったのですが、木村さんはお隣の岐阜の出身、お父様も絵を描かれていた関係で絵がすごく身近なものだったと。かつて中日展という展覧会がありまして、その図録がご自宅にあり、それを高校生の時に見て、そこに星野眞吾の作品がモノクロの小さな画像で掲載されていた。自分と同じ問題意識を持って絵に取り組んでいる画家と思い印象に残っていた。その後星野眞吾賞展のことを思い出し応募してくれたと。大変深い縁があると感じました。展覧会が育ってきているという風に思いました。
-来年の1月には、大賞、準大賞、優秀賞3点と審査員の先生方に推奨された5点の作品を東京のUNPEL GALLERYで展示をするということになっています。ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。何かメッセージいただけませんか。
本当に見所のある作品ばかりです、皆さん最先端というか、いろんなところで活躍中の作家です。大賞の八木祐介さんの作品は審査員の方から、「この作品はとても素晴らしいけども印刷物にした時に良さが伝わりにくいんじゃないか」と真剣に心配されていた位に実物から受ける印象が違います。ギャラリートークの時も、皆さん画面に近づくと「おおっ」声を発せられる。石だったり、砂だったり土の飛び散り具合とか、八木さんが全身を使って描いている作品なので、是非アンペルギャラリーで楽しんでほしいなと思います。
-八木さんには2年後、2026年秋にギャラリーで個展を開催していただく計画もあります。これも楽しみにしていただければと思います。