展示作家名
大 賞 / 佐々木 菜摘
準大賞 / 山本 雄教
優秀賞 / 因幡 都頼
入 選 / 六無 、田住 真之介、小谷 里奈 、佐々木 綾子、 加茂 那奈枝
この度、UNPEL GALLERY(アンペルギャラリー)において「第8回トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞受賞作品東京展-明日の日本画を求めて-」を開催いたします。
アンペルギャラリー運営母体のあいおいニッセイ同和損害保険会社は、「地域密着」の方針に基づき豊橋市と包括連携協定を締結し、その具体取組として豊橋市主催公募展「トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展」に協賛しています。
本年豊橋市で開催された第8回公募展では、応募入選した57点の中から、大賞、準大賞、優秀賞の3点をはじめ、審査員5名による各推奨作品5点が選ばれました。今回当ギャラリーでは、これら計8点を展覧いたします。「従来の概念にはとらわれない日本画」という選考基準をくぐり抜けた力作を是非ご覧ください。
インタビュー動画
展示作品
星野眞吾賞(大賞) 佐々木菜摘 《痕跡!?》
私は別の生き物として在りたいという強い欲求がある。
人間の体で生きていながら、「 他の生き物になりたい。」 という感情はどこから来ているのか。 本来、私たちは“ヒト” という型に収まり切れない欲求を抱えながら生きていて、 人間の在り方は私たちが想像する異星人のようにもっと多種多様であってもよいのではないだろうか。
そこで “在りたい理想の生命体が現実世界に存在していたら” をテーマに、その痕跡として未知生物の標本を制作した。
動物や植物、虫たちには人間にはないアンテナやセンサーが存在している。
それらの機能が人間に備わっていたら、 今と全く違う世界の感じ方や見え方ができるに違いないと考え、人間と動植物・虫が一体となった未知生物を表現した。 作品を通し、 様々な生物の世界や視点を探求することで、 人間が持つ従来の認識や概念、そして生物としての人間の在り方を解放することを目的とした。
本作品は、未知生物が存在した世界線の痕跡であり、私自身の痕跡である。
入選 田住真之介 《永遠》
作中の生物は過去・現在・未来とそれら全てを意図している。瞬間的に儚く過ぎていくと共に長く美しい輝きを持った幸せな時間を、人の一生よりも長く実在しうるであろう絵画に残し、永遠と名付けた。
入選 佐々木綾子 《Teachers’ room》
情報はデータ化されているのに職員室はとにかく紙が多い。そしてファイルも多い。同じ紙、ファイルでもその人の積み重ね方や配置によってより個が際立って見えてくる。個と個が職員室に大きなうねりを生み出す。
現在急速に情報の量が変化し紙の量も変化し続けている。
優秀賞 因幡都頼 《渦巻》
「常識」 とはなんだろうか。
ニューノーマルと言う言葉が取り沙汰され、 以前の社会に戻れないほど、大きな変化が起こりました。 映画やドラマなど、 このような未来にならぬよう、 警鐘を鳴らした作品はいくつかありました。そうしたものを見る度に、心のどこかで「 有り得たかもしれない世界」 の出来事と切り離していました。しかし、実際に “それ”は起こりました。言うなれば、フィクションが現実に変わった世界で、私たちは生きています。
労働、教育、医療、交通、 飲食。ありとあらゆる常識が更新されました。 まさに、常識がひっくり返る瞬間に私たちは居合わせたのです。しかし、私たちが信じてきた常識からは簡単に変わることはできません。むしろ、失ったもの取り戻そうと、 抗い反発していました。
私たちが、この瞬間、感じているこの世界は、個人が脳で知覚した情報によって作り出された幻覚だと言われています。その幻覚の中から、多数者と合意できる情報によって「現実」が成り立ちます。 一方で、現実を生成する過程において、削ぎ落とされた情報は、その人が見たオリジナルの世界を構築する部品と言えます。ある意味で、全員が認識できる大きな衝撃も、私たちが現実を共有し、 繋がることのできる結び目とも言えます。色んな方向から伸びる線が交錯し絡み合い、やがて大きなロープのように新しい現実が生まれていく。そう考えると、私たちは、無数の世界が交差する編み物の上に立っているようです。
では、そのロープが切られてしまったらどうなるのでしょう。
私たちは、現実を認識できず、分断された個人の世界が表出します。
人の数ほど世界はあり、それが交わり現実が生まれます。一度切られた紐は、新たな紐と結び直すことで、前よりも強くなります。
分断から接続へ、その分岐に立たされた私と、世界が交錯する今を描き留めました。
入選 六無 《月虹図》
「月虹」とは月の光によって夜空に現れる虹の事。万物が振動する山水世界では虹でさえ例外ではない…。
入選 加茂那奈枝 《ながれ》
自然のなかで目を閉じると、小さな生命体が集合したり拡散したりしながら、あらゆるものを貫き流れている様子が浮かびます。その目には見えない存在を自分の中にとり込み、落とし込むように描き重ねることで、そのすがたを出現させたいと考えました。
準大賞 山本雄教 《White noise》
余白がずっと気になっていました。
日本絵画が語られるときに頻出する言葉でもある余白。そんな何も描かれていない空間から、無意識にイメージが広がり、ときに作品の中に没入していくような体験をすることがあります。
作者の意図を越え、鑑賞者それぞれの中で勝手に広がっていく「なにか」。
そこには視覚的なイリュージョンにとどまらない、 絵画の大きな可能性を感じます。
このシリーズは、絵画の中の一要素としてではなく、余白そのものを作品にすることができないかと考えたものです。
筆圧により、紙に無数の凹凸をつけて描いた今作は、離れて見るとただの白い画面です。
しかし一度近づいてその跡を視認すると、離れて見えなくなったとしても、そこに何かがあることを意識することになります。
それは見るというよりも気配を感じることに近いのではないでしょうか。
まるで画面全てが余白かのように、作品の完成像は作者の私も含めた鑑賞者それぞれの中にその都度現れます。 そこには全てがあるかもしれませんし、 やっぱり何もないかもしれません。
入選 小谷里奈 《朝の歌》
自然のフォルムを手がかりに日常の風景を切りとり、その時々の空気、温度、時間などを日記のように表現している。朝の散歩道、露に濡れキラキラとし、風に揺れ、音が聴こえてくる様を描いた。
私はものがそこに存在するということはどういうことなのかを制作を通して考え続けている。