木製漆塗 縦25㎝×横22.4㎝×高10.3㎝
尾形光琳(1658-1710)は、京の高級呉服商の生まれ。本阿弥光悦や俵屋宗達に触発された意匠性の強い様式を形成して、元禄文化を代表する絵師とされる。
本阿弥光悦が作った同種の観箱の形に倣って光琳が作った硯箱。金蒔絵の土坡の向こうに、螺細による白椿が二輪誇らしげに咲き、添えられた葉のうち三枚は黒ずんだ鉛によって自然な感触を思わせる。何気ない自然の一部をクローズアップして意匠化する光琳得意の構図である。
光琳が絵画だけてなく、陶芸家の弟乾山と共に陶器や蒔絵にしばしば椿を扱った作品を残したのも、彼ら兄弟が活躍した元禄年間(1688-1703)頃に椿の流行が開熟期となったことが背景にあった。